魔王さま100分の2


かの大戦争では、海を守る人魚達は歌声で敵船を嵐に引き込み、人間の海軍に一切の自由を与えなかったという。

そして今、
人魚達は、

嵐で高まる荒波の中、
平然とした顔で自分の位置をキープし、

風雨に遮られない頭に直接ひびく声で、
キーヤをできるだけ安全なコースに誘導している。

「こっちよ、こっち」
「横から大きな波がくるわ、気をつけて」

嵐の海に沈められた過去の船々とは逆。