かの大戦争では、海を守る人魚達は歌声で敵船を嵐に引き込み、人間の海軍に一切の自由を与えなかったという。 そして今、 人魚達は、 嵐で高まる荒波の中、 平然とした顔で自分の位置をキープし、 風雨に遮られない頭に直接ひびく声で、 キーヤをできるだけ安全なコースに誘導している。 「こっちよ、こっち」 「横から大きな波がくるわ、気をつけて」 嵐の海に沈められた過去の船々とは逆。