世話焼きめ……。
キーヤはひとつ舌打ちし、少し高度をあげた。
幽霊船に近づくにつれて風雨が強まり、波も高くなっていく。
波の飛沫が、キーヤがつくる風の守りにあたって緩く弾ける。
「こっちよ」
と、そんなキーヤに海から援軍の声がかかった。
「私達を目印にして飛んで」
人魚達だ。
何人もの人魚が、幽霊船までの道すじで順々に頭を出し手を振っている。
「ありがたい。そうさせてもらう」
キーヤは、人形達に手を振り返した。
キーヤが空を自分の庭とし、
風を読むならば
人魚達は海が住み家であり、
嵐を読む。
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