魔王さま100分の2


世話焼きめ……。
キーヤはひとつ舌打ちし、少し高度をあげた。

幽霊船に近づくにつれて風雨が強まり、波も高くなっていく。

波の飛沫が、キーヤがつくる風の守りにあたって緩く弾ける。

「こっちよ」

と、そんなキーヤに海から援軍の声がかかった。

「私達を目印にして飛んで」

人魚達だ。

何人もの人魚が、幽霊船までの道すじで順々に頭を出し手を振っている。

「ありがたい。そうさせてもらう」

キーヤは、人形達に手を振り返した。

キーヤが空を自分の庭とし、
風を読むならば

人魚達は海が住み家であり、
嵐を読む。