「無事に連れて返ってきたのだろうな」 「ああ、無事すぎて二人とも夢の中だ」 シルキスは、キーヤが背負う銃と双眼鏡の装備を見て答えた。 野宿しながら一晩中、領地の周囲を見張っていたのは言わなくても分かる。 「なら、いい」 キーヤは無愛想に会話を切ると、 天馬の頬を撫でた。 乗って帰るか? という無言の確認である。 シルキスは小さく首を振って、 砂浜に歩を進めた。 天馬では、この人数は運べない。 帰りの足も、往きで乗ってきた小船を使う。