金の魔王さまも近づいてきて、
へナの輪を横から撫でて言う。
「つまり、さっきのヘナは本気でシルキスに怒っていたのだな」
「……シルキスさまが私を謀るからです」
「ふふ、そうだな。謀ったシルキスが悪い」
金の魔王さまは、よくやったぞと輪をさらに撫でた。
撫でられた輪は、へナの頭上、魔王さまの手にあわせてくるくる回る。
「でも、魔王さまも知っていたのですよね?シルキスさまが、アイオネさんと戦いたがっていることを」
「うむ。知っていた」
「どうして止めないのです?シルキスさまかアイオネさん、ひとつ間違えば死ぬところでしたよ」
「あいつがたまに見せる、本心だからな」
金の魔王さまは、ヘナの抗議の目を避けて、輪から手を離す。


