魔王さま100分の2


金の魔王さまも近づいてきて、
へナの輪を横から撫でて言う。

「つまり、さっきのヘナは本気でシルキスに怒っていたのだな」

「……シルキスさまが私を謀るからです」

「ふふ、そうだな。謀ったシルキスが悪い」

金の魔王さまは、よくやったぞと輪をさらに撫でた。

撫でられた輪は、へナの頭上、魔王さまの手にあわせてくるくる回る。

「でも、魔王さまも知っていたのですよね?シルキスさまが、アイオネさんと戦いたがっていることを」

「うむ。知っていた」

「どうして止めないのです?シルキスさまかアイオネさん、ひとつ間違えば死ぬところでしたよ」

「あいつがたまに見せる、本心だからな」

金の魔王さまは、ヘナの抗議の目を避けて、輪から手を離す。