「これ、私にもさわれる?」 ヘナは、こくりと頷いて輪を差し出す。 黒の魔王さまは、わくわくして輪を両手で受け取った。 「あはっ」 魔王さまの手で輝く天使の輪。 熱くもなく、冷たくもなく、重さもない。 手触りすらもなく、つるつるも、ざらざらもしない。 光りがそのまま固まったよう。 魔王さまは、ヘナがしていたように輪を自分の頭に乗せてみた。 が、残念ながら輪は手を離したとたんに頭から落ち、湯の中に沈んだ。 ぽちゃんっ。 「だめか」 黒の魔王さまは、湯船の底から輪を拾いあげる。