魔王さま100分の2


「これ、私にもさわれる?」

ヘナは、こくりと頷いて輪を差し出す。
黒の魔王さまは、わくわくして輪を両手で受け取った。

「あはっ」

魔王さまの手で輝く天使の輪。
熱くもなく、冷たくもなく、重さもない。

手触りすらもなく、つるつるも、ざらざらもしない。

光りがそのまま固まったよう。

魔王さまは、ヘナがしていたように輪を自分の頭に乗せてみた。

が、残念ながら輪は手を離したとたんに頭から落ち、湯の中に沈んだ。

ぽちゃんっ。

「だめか」

黒の魔王さまは、湯船の底から輪を拾いあげる。