黒の魔王さまは傷のことには触れず、またヘナに頼んだ。
「はーい、閉じて」
ヘナは、両方の翼を折りたたむ。
大きく広がっていた翼が、
不思議かつ自然に小さくまとまる。
ちょんちょんと小山になって背中に乗っている感じになり、さらにアヒルや白鳥の翼のようにぺたっと背中にくっついた。
これならローブ一枚で隠せる。
「おお、すごいね。大きいときと小さいときは全然違う」
「うむ、私も始めて見せてもらったときは感心した」
シャチにもたれたまま言う、金の魔王さま。
「……自分ではよく分かりませが」
ヘナは、くっついた翼を小山にまで戻して言う


