魔王さま100分の2


黒の魔王さまは傷のことには触れず、またヘナに頼んだ。

「はーい、閉じて」

ヘナは、両方の翼を折りたたむ。

大きく広がっていた翼が、
不思議かつ自然に小さくまとまる。

ちょんちょんと小山になって背中に乗っている感じになり、さらにアヒルや白鳥の翼のようにぺたっと背中にくっついた。

これならローブ一枚で隠せる。

「おお、すごいね。大きいときと小さいときは全然違う」

「うむ、私も始めて見せてもらったときは感心した」

シャチにもたれたまま言う、金の魔王さま。

「……自分ではよく分かりませが」

ヘナは、くっついた翼を小山にまで戻して言う