「へー、こうなってるのか」
翼が生え出しているのは、
人間でいうと背中の肩甲骨の内側あたり。
白い翼が、
肌に溶け込むように繋がっている。
黒の魔王さまが、そのつなぎ目を指先でぐるぐる撫でまわと、ヘナの翼が付け根から先までひくひく動く。
「いっぱいまで翼を開いてみて」
大きく広げられる翼。
傷がないほうの翼は、
全開になるとかなり大きい。
方羽だけで、ヘナ自身の身長ぐらいある。
一方、途中で千切れている翼は、
ヘナの肩を少し越えるぐらいの長さ。
切断面は、上から下までばさばさに荒れていて、近くで見ると痛々しい。


