「背中にくっついてるところもさわっていい?」 「……付け根ですね。いいですよ」 ヘナが気さくに許可したので、黒の魔王さまはシャチから離れて、翼の根元にまで手をすべらせる。 「……あっ」 途中、くすぐったそうにするヘナ。 黒の魔王さまの手指が翼の生え際にかかると、さらに声をあげて身をひねる。 「……あふっ」 「くすぐったいの?」 「……はい、自分では触れないところなので」 ヘナは、ひねった身体を戻して、 黒の魔王さまにもう一度背中をむける。 さわり続けていいという、サインだ。