「この剣、他にもあるの?」
「今のところ、2本目があるという情報は入っていない」
答えるシルキスは、アイオネに手を伸ばした。
そろそろ返してくれというポーズだ。
アイオネは、返す前に訊く。
「これは壊せないの?」
「僕の力では無理だった。ヘナにも浄化っぽいことを頼んだけど効果はなかった」
「捨てるとか、封印するとかは?」
「それも考えたけど、魔王さまに、だったらずっと持っていろと命令されてね」
シルキスは、やれやれと顔をつくって言った。
金の魔王さまは、殺される時がきたらシルキスの手でと考えている。
「そう、じゃあ、絶対に手放さないでよね」
アイオネは願って、シルキスに魔王殺しを返した。


