魔王さま100分の2


「…………」

シルキスの逃亡談を黙って聞いていたアイオネは、シルキスが語り終わっても、しばし口を開かなかった。

何度申請しても、
壊れたまま放置された塔の扉と天井の穴。

街にひとりしかいない勇者。
その勇者に心許す魔王さま。

辺境の地。

現場のアイオネに、
重要な情報を降ろしてこない王国と中央。

手の中の魔王殺しを睨み、
シルキスの話と今の自分の状況との共通点を並べる。