「…………」 シルキスの逃亡談を黙って聞いていたアイオネは、シルキスが語り終わっても、しばし口を開かなかった。 何度申請しても、 壊れたまま放置された塔の扉と天井の穴。 街にひとりしかいない勇者。 その勇者に心許す魔王さま。 辺境の地。 現場のアイオネに、 重要な情報を降ろしてこない王国と中央。 手の中の魔王殺しを睨み、 シルキスの話と今の自分の状況との共通点を並べる。