魔王さま100分の2


アイオネは、少しだけシルキスの方に身を乗り出す。

シルキスの腰を指差し、疑念に満ちた声で訊いた。

「その黒い剣はなに?普通じゃないでしょう?」

「これか」

シルキスは、座ったまま魔王殺しを抜いた。
廊下の照明で浮かび上がる真っ黒な刀身。

手首を軽く動かし、
アイオネに投げてよこす。

アイオネは、片手で柄をつかんで受け取った。

振ってみろ。
シルキスが、手振りでそう言ってくる。

アイオネは片手で軽く構えて、魔王殺しを振り下ろした。

「なっ!!」

驚愕するアイオネ。

過去のシルキスと同じく、アイオネもまた、それが何か一振りで理解できたらしい。