「本当よ!」
アイオネは、靴を脱いでぶん投げた。
シルキスは、それを片手で受けとめる。
靴を脱いだ動作で次に何をするか読まれたらしい。
まあ、あたり前かもしれないが、
靴を手にしたシルキスが、
なぜか懐かしそうな顔をして、ゆるく投げ返してくるのが、さらにアイオネの気にさわる。
「あんたなんかに苦戦したのは、こんな辺境に3年も居たから。うん、そう、絶対!」
アイオネは、声をあげる。
「つまり、3年のブランクを割り引けと?」
「そ、そうよ」
シルキスは、また考える。
考えている間の表情は真剣なので、アイオネはその隙に攻撃できない。
しぶしぶ、返してもらった靴を履きなおす。


