魔王さま100分の2


「本当よ!」

アイオネは、靴を脱いでぶん投げた。
シルキスは、それを片手で受けとめる。

靴を脱いだ動作で次に何をするか読まれたらしい。

まあ、あたり前かもしれないが、
靴を手にしたシルキスが、

なぜか懐かしそうな顔をして、ゆるく投げ返してくるのが、さらにアイオネの気にさわる。

「あんたなんかに苦戦したのは、こんな辺境に3年も居たから。うん、そう、絶対!」

アイオネは、声をあげる。

「つまり、3年のブランクを割り引けと?」
「そ、そうよ」

シルキスは、また考える。

考えている間の表情は真剣なので、アイオネはその隙に攻撃できない。

しぶしぶ、返してもらった靴を履きなおす。