「だったら、シルキスを先にやってやれ」
答えたのは、金の魔王さま。
何度目かのネコパンチをシルキスに見舞って、地面に降りる。
「それは、」
アイオネは、先にシルキスが回復することを警戒する。
地上に降りた天使が行う治療術は、記録や噂以上のものだった。
シルキスの傷も、瞬く間に完治させるに違いない。
戦う理由はもうないのかもしないが、開いた戦力差を不用意に縮めることはない。
「ふふふ、心配するな。治った瞬間におまえを襲うことはしない」
と、金の魔王さまがアイオネの心情を読んだ。
「ヘナ、あの必殺技を使っていいぞ。あれならどちらが先でも平等だ」


