黒の魔王さまはというと、アイオネに引き剥がされた場所で座り込んでいた。

ひとり置いてきぼりにされて拗ねていたようだが、ヘナが挨拶をすると機嫌は一気に直った。

「はじめまして、魔王さま」
「あなたがあっちの私が言っていた友達?」

「はい、親しくさせて頂いています」
「じゃあ、私とも友達だ」

黒の魔王さまは、ヘナの手をとった。
よろしくっと握手。

ヘナは、それだけで黒の魔王さまの容態を診た。

「負傷はありませんが、ショックで身体が痺れているようですね。これで完治です」

握手する手から無色の波が流れて、治療終了。

黒の魔王さまは、目をぱちくりさせて立ち上がった。

「おおっ、なんかすごい元気になった」