魔王さま100分の2


門の内。
ヘナの背中で戯れている魔王さま。

ヘナの耳元で言う。

「大丈夫だと思うが、もうひとりの私がふらふらしている。後で診てやってくれ」

「後じゃなくて、今、診て欲しい」

言ったのは、ヘナにぶっとばされていたはずのシルキス。

金の魔王さまの後ろ襟を掴んで、子ネコように持ち上げた。

ヘナから引き剥がされ、手足をぶら下げた状態で魔王さま。

「なんだシルキス、もう起きたのか」

「ええ、もらったのは痛いだけのパンチですら」

シルキスは、当然と答える。

自分の魔王さまが駆け出すのを見てしまうと、おちおち寝ていられない。

シルキスは、もう片方の手をヘナに差し出した。

「怪我はないか?ヘナ」

もちろん怪我だらけなのは、シルキスだ。