門の外、木々の枝葉の中。
それほど太くない枝を足場にして、
身を潜めていたキーヤ。
門が閉じるのを見て、
暗視の魔法がかかったゴーグルを外す。
背中には狙撃用の精密銃。
アイオネに感じさせた針の気配はこれ。
ヘナには、遠くから静かに見守るだけにするように、拷問パンチモードで頼まれたが、
ヘナにアイオネの手が伸びるのを見て、銃口をむけた。
その瞬間、手で射線を遮えぎるとは恐ろしい王国の勇者の力。
シルキスが同じ感覚を身につけるまでは、キーヤが付き合わされた特訓で二桁を越える弾丸が必要だった。
「シルキスのやつ、あんなのに並ぼうとしているのか」
キーヤはつぶやき、
木の下の天馬が大人しくしているのを見ると、
幹に背をつけ、
自分も少し休むことにした。


