天使の笑顔。
魅了はされないが、悪意も全く感じない。
とにかく外に出すのが安全か?
それともこのまま穏便に面会させて、
厄介者を引き取ってもらうのが面倒ないか?
アイオネは迷う。
と今度は、アイオネを見ているヘナを、背後から小さな影が覆いかぶさった。
「ヘナ~、もう迎えにきたのか?」
金の魔王さまが、大歓迎の意思を全身で示して、ヘナの背中に飛び乗る。
「ま、魔王さま、むぎゅっ」
魔王さまと同サイズのへナは、その場でうつぶせに押し倒された。
「ふふふ、ヘナはか弱いなあ」
金の魔王さまは言って、ヘナの翼を両手でもふもふする。
「魔王さま、いきなりはだめです、ひあっ」
くすぐったいらしい。
アイオネは後手後手にまわる事態にこめかみを押さえ、門を閉めた。


