「いずれにしても大変ご迷惑をおけしました。謝罪いたします」
ヘナは立ち上がり、輪っかを乗せた頭をペコリと下げた。
「たしかに、これ以上ない大迷惑だったわ」
言いつつ、
アイオネは、ヘナが頭を下げている間に門外の気配をさぐる。
姿が見えるのは、目の前のヘナだけ。
感じる気配も……、ヘナだけであった。
ヘナは頭をあげると言う。
「私は、魔王さまとシルキスさまを迎えにまいりました。お連れしてもよろしいでしょうか?」
アイオネは、ヘナが頭をあげる前に目を戻していた。
答える。
「連れていってくれるなら、今すぐお願い」
「それでは、入らせていただきますね」
ヘナは、するっと門の内側に身を入れた。


