「あのさ」
アイオネは、残った靴をシルキスが寝ているところに投げてやってから言った。
「別に死んでいてもかまわないのだけど、大丈夫なのアレ?」
「はい。今のは、しばらくの間、与えられるダメージと当量の回復を人体に与え続ける拷問技ですので、大丈夫です」
ヘナは、清々しいモードで答えた。
清々しいモードなので、何気に雑じった恐ろしい単語も透き通る声でさらっと流れる。
「いつもその技を?」
「まさか。これは非常時、やむをえない時のみ使うものです」
「具体的に言うと?」
「すっごくムカついて、相手を殴らないと気がすまなくなったときです」
「そうか、なら仕方ない。いい技ね」
「はい、仕方ありません。いい技です」


