「ところが、キーヤさんから聞いた話ではっ」 へナの長いほうの翼が、肩越しに曲がってシルキスの額をビシッと指す。 「アイオネさんをわざと怒らせて、自分と本気で戦うように仕向けましたね?」 「いや、わざとだと言うほど確定させたものでは……」 シルキスは、肘を使ってアイオネの影に隠れようと後ずさった。 「シルキスさま、私に嘘をつきましたね」 ヘナの両手が光を帯びる。 両の手を上に向けると、手と手の間に光の輪が生まれる。 ヘナは、その輪を自分の頭の上に乗せた。