「おい、ここに塩は置いてあるか?」

金の魔王さまは、アイオネに訊く。

アイオネは、黒の魔王さまを抱きかかえながら答えた。

「塔内に少々」
「そうか、それは良かった」

「良くないです。やめてくださーい」

「アイオネ、お塩ならこの間のびっくり紅茶を作るのに全部使っちゃったよ」

会話に参加する黒の魔王さまは、アイオネにしっかと腕をまわしてくっついている。

「えへへ~、びっくり紅茶というのはね」

幸せそうに顔を緩ませているので、身体のほうは大丈夫だろう。

「言わなくてもいい、想像はつく」