ぼんやりと、少しずつ見えてくる見慣れた輪郭。 「少しは見えるようになったか?」 「少しだけですけど」 シルキスの顔面を狙っているのは、自分をアイオネに高い高いの型で持ち上げさせている金の魔王さまだった。 「魔王さま、その抱き方は嫌いだったのでは?」 「今は、これが最高だ」 シルキスは、アイオネに顔をむける。 こっちも、ぼんやりとだけ見えた。 「ハシゴが崩れる前あたりで、私も冷めた」 アイオネは、言う。 「それは何より。で、どうして僕の魔王さまの手伝いを?」