魔王さま100分の2


つもりだったが、勇者の足腰は強靭。
ふたりとも軽々と受け止められてしまった。

「あら?」
「おおっ」

感心する魔王さま達。

片腕で腰を抱かれた状態で、相手の勇者の顔を間近で見る。

それがまた、シルキスとアイオネに火を注いだ。

自分の魔王さまを抱かれた怒りで、殺気がこれまでと比較にならない基準で増幅する。

狂犬状態。

シルキスの魔王殺しを握る手と、それを叩き返すために握られたアイオネの篭手が、ミシミシと音をたてる。

バキンッ。

圧力に耐えられず、
アイオネの篭手が内側から壊れた。

「待て、待て、待て、おまえら」
「もういいから、やめて」

魔王さま達は、状況の悪化に焦る。