力とスピード、 そして正統な流れを汲んだ剣技、 全て自分が上回っていると感じる。 なのに勝ちきれない。 あの黒剣の力か? その持ち主の力か? 両方だ。 怒りで血が上った頭だが、それぐらい分かる。 分かるから、イライラする。 アイオネは、剣先を遠く離れたシルキスの喉元にむける。 シルキスは、両手持ちだった魔王殺しを片手持ちに代えて、ゆらりと体勢を沈めた。 両者一歩の踏み込みで、開いた間合いがゼロになる。