魔王さま100分の2


力とスピード、
そして正統な流れを汲んだ剣技、

全て自分が上回っていると感じる。
なのに勝ちきれない。

あの黒剣の力か?
その持ち主の力か?

両方だ。
怒りで血が上った頭だが、それぐらい分かる。

分かるから、イライラする。

アイオネは、剣先を遠く離れたシルキスの喉元にむける。

シルキスは、両手持ちだった魔王殺しを片手持ちに代えて、ゆらりと体勢を沈めた。

両者一歩の踏み込みで、開いた間合いがゼロになる。