魔王さま達が上から見て思ったように、シルキスとアイオネの戦いは熾烈を極めていた。
正面から間合いに入ると同時に、アイオネが全腕力を込めて剣を振り下ろす。
シルキスは魔王殺しに全身の力を込め、同軸に振り下して打ち合う。
力で勝るアイオネがわずかに打ち勝って、シルキスの魔王殺しを押し込むが、身に届くまでは至らない。
シルキスは剣の勢いを殺した一瞬をついて、アイオネの剣を振り払った。
アイオネの側面を狙って二の刃を打つ。
これをアイオネは、逆にシルキスの黒剣をぶち折る勢いで打ち返した。
魔王殺しを通して、シルキスの両手に伝わる衝撃。
剣先から根元まで触れあった部分全てで飛び散る火花は、夜の庭に勇者達の姿を一瞬明るく照らして、すぐ闇にかえる。
もちろん、この程度で魔王殺し自体は傷つかない。
シルキスも魔王殺しを手放さない。


