「愛してるね」
「まあな」
金の魔王さまは、笑みを消さずに認める。
「で、おまえはどうなんだ?あの女勇者をあそこまで必死にさせているのだ、何か甘い言葉のひとつでも囁いてやったのか?」
「いや、全然。むしろ嫌がらせばっかりかな」
「嫌がらせ?どんな?」
「私の世話係を絶対にやめさせてあげないこと」
「あはははっ」
金の魔王さまは、声に出して笑った。
「それはいい、最高だ」
「うん、酷いよね私。アイオネが本当に国に帰りたがっているのを知ってるんだよ」
「魔王だからな、欲しいものは欲しいと言えばいい」
「そっちはそうしたの?」
「いいや、シルキスの方に言わせて、この身を奪わせた」
そのとき、思い切り泣いていたことは言わない。


