魔王さま100分の2


「愛してるね」
「まあな」

金の魔王さまは、笑みを消さずに認める。

「で、おまえはどうなんだ?あの女勇者をあそこまで必死にさせているのだ、何か甘い言葉のひとつでも囁いてやったのか?」

「いや、全然。むしろ嫌がらせばっかりかな」

「嫌がらせ?どんな?」

「私の世話係を絶対にやめさせてあげないこと」

「あはははっ」

金の魔王さまは、声に出して笑った。

「それはいい、最高だ」

「うん、酷いよね私。アイオネが本当に国に帰りたがっているのを知ってるんだよ」

「魔王だからな、欲しいものは欲しいと言えばいい」

「そっちはそうしたの?」

「いいや、シルキスの方に言わせて、この身を奪わせた」

そのとき、思い切り泣いていたことは言わない。