「あちゃ、やっぱり喧嘩になったか。アイオネは短気だからなあ」
黒の魔王さまが言う。
「うちのシルキスも、穏やかな面を一枚剥げば似たようなものだ」
勇者の馬鹿さこんなものだと、金の魔王さま。
「でも、あれって私達の為にああなっているんだよね。やっぱり」
「それはそうだ。あいつにとって私は死ぬほど大事らしいからな。本当に馬鹿なやつだ」
金の魔王さまは、つぶやいた。
こういう場面を作ったのはシルキスが馬鹿だからだが、
今の戦いが始まった直接のきっかけは、
あのまま逆上したアイオネを通せば、自分の魔王に剣を向ける危険があったからだ。
「そう言いながら、頬が緩んでるよ」
黒の魔王さまが指摘。
「ふっ、ここで喜んでやらねば。シルキスが可愛そうではないか」


