魔王さま100分の2


「あちゃ、やっぱり喧嘩になったか。アイオネは短気だからなあ」

黒の魔王さまが言う。

「うちのシルキスも、穏やかな面を一枚剥げば似たようなものだ」

勇者の馬鹿さこんなものだと、金の魔王さま。

「でも、あれって私達の為にああなっているんだよね。やっぱり」

「それはそうだ。あいつにとって私は死ぬほど大事らしいからな。本当に馬鹿なやつだ」

金の魔王さまは、つぶやいた。

こういう場面を作ったのはシルキスが馬鹿だからだが、

今の戦いが始まった直接のきっかけは、

あのまま逆上したアイオネを通せば、自分の魔王に剣を向ける危険があったからだ。

「そう言いながら、頬が緩んでるよ」

黒の魔王さまが指摘。

「ふっ、ここで喜んでやらねば。シルキスが可愛そうではないか」