「さて」
魔王さまは、十分にシルキスを踏みつけてハシゴの上に戻る。
本気と言いつつ、本気で踏んだわけではないのでシルキスにたいしたダメージはない。
額に靴跡がついたくらい。
「シルキスが胸の大きさ程度で目移りするような男でないのは、私が一番良く知っているとして」
「知っているなら、踏まないでください」
「さらっとノロけるねえ」
「ふたりでこれだけ違うということは、他の私達の姿もバラバラだと思ったほうがいいな」
「そうなるね。どんなのがいるのだろう?」
「興味が出ましたか?」
「ふふ、外には出ないよ」
黒の魔王さまは、背中の髪をゆすって言う。


