途中、アイオネの脚に引っ掛けられた椅子が壁まで飛んで砕ける。 出入り口の、固く閉められて施錠されていた防音扉のノブがひと捻りで千切れ、それでも開かないと一撃で蹴り外された。 初めて見た、本気になった勇者の力に息を飲む都市の代表達。 廊下に立っていた見張りは、唖然としてアイオネを見送る。 エミリオは静かに、ヘナは申し訳なさそうに、自分の席で神に祈った。 キーヤは、それまでの毅然としていた顔を青くし、よろけて机に両手をついた。 「こ、殺されるかと思ったぞ。だから勇者は嫌いだ」