「ところで、そのアイオネはどうしたのかな?黙って君らを通すはずはないと思うけど」

黒の魔王さまが問う。

「彼女には、ここから離れたところの会議に出てもらいました。僕らは、彼女の留守を狙ってここに入らせてもらいました」

「いわゆる騙し討ちだ」

金の魔王さまが威張る。
シルキスが訂正する。

「討ってません。彼女は夜のうちには戻ってくると思いますのでご安心を」

「うん、ならいい」

黒の魔王さまは、納得した。

「でも、戻ってくるときはすごく怒っているだろうなあ」

「怒ってますか」
「確実にね」

黒の魔王さまは楽しそうに、そして自慢げに断言した。




──魔王さまと魔王さま 終わり