ふたりに聞いてもらうつもりだったのでちょうどいい。 「お風呂の前に大事な話をひとつだけ」 「許す、早く言え」 「どうぞ」 「魔王さま、ここを出る気はありますか?」 シルキスは簡潔に訊ねた。 「そうだった。ここには、それだけを訊きに来たのだった」 金の魔王さまも、そうだ思い出したと手を叩いて黒の魔王さまを見る。 「出る気はないよ。アイオネが凄く困るだろうから」 黒の魔王さまは、あっさり答えた。