キーヤは仕方なく期待に応える。
「見てろ」
子供達の前に指を立てて、軽く意識を集中。
やりすぎないように気をつけて、エルフ語を紡ぐ。
ふんわり。
キーヤの指先を中心にして生まれるそよ風。
子供達の前髪を順に持ち上げ撫でていく。
「すごーい」
大盛況。
キーヤにしてみれば、手加減するのに疲れるぐらいの児戯。
だが子供達にすれば、一生の思い出になるかもしれない出来事。
キーヤは、瞬く間に子供達の人気者になった。
もっともっととせがまれ、凄く困る。
ヘナは、キーヤの背中で完全に休憩モードに入って助けてくれない。


