わずかな時間で順番待ちの列をなくしてしまった。
治してもらった人間はヘナに深く感謝する。
そして、付き添いの人間を含め只者でない空気をヘナから感じとる。
キーヤは、さすがに目立ちすぎたとヘナの傍についた。
襲われることはないだろうが、
治療が終ったのなら、
ひとまず診療所の外に出てこの人間達と距離をとるべきだと、ヘナに耳打ちするために膝をつく。
そうしたら、ヘナより先に人間の子供と目線があった。
ヘナが最初に爪を治してやった子供だ。
……まだいたのか。
キーヤが思うと、子供は無垢な声で訊ねてきた。
「お兄ちゃん、エルフ?」


