「おおおっ」
どよめきが起こる待合室。
他の順番待ちをしていた人間がヘナに期待の目をむける。
ヘナは、この人達も治していいかとキーヤを見た。
キーヤは、兵士を連れてすばやくヘナによった。
兵士と受付に言う。
「見たとおり、この子は高レベルの治療士だ。他の患者も診てもいいか?」
「少しお待ちください」
受付の人間は、判断に迷うと別室に駆け込んでいった。
治療所の責任者か、治療を行っている神父かに確認をとりにいったのだろう。
キーヤは、許可がでるまで待てとヘナに目で伝える。
ヘナは、静かに頷きつつ、順番待ちの患者の中で最も重傷そうな者を無言でさがす。


