魔王さま100分の2


親子は診療所の受付けを済ますと、
待合室の入り口に近いところに立って順番を待つ。

聞こえてくる子供の泣き声。
なだめる親。

爪を割ったのだ、子供だったら泣くぐらいは痛いだろう。

入り口に近いところでの順番待ちということは、診療までの待ち時間が長いということだろうか?

普段、人間のことなど仕事以外で気にかけないキーヤだが、子供の泣き声を耳にし続ける位置にいては気になる。

エルフの耳は優秀なのだ、と自分に言い訳しながらキーヤは訊く。

「治療は、神父ひとりでやっているのか?」

「はい。教会には他にも治療できる方々が複数いますが、診療所には交代で入りますので、この時間は神父ひとりです」

兵士もまた、待合室の込み具合を見る。