魔王さま100分の2


キーヤは、同様に日陰に立つ兵士に訊ねる。

「治療費はどの程度だ?」

「この診療所で診られる範囲のものであれば原則無料です。お気持だけ教会に」

「なるほどそれは流行る」

開け放たれた入り口から見える待合所は、治療を待つ人間でいっぱいだった。

ひとりひとりは軽症だが、数が多い。

兵士と話しているうちにも、またひとり泣き顔の子供が親に連れられてやってきた。

指から血を流している。

親子は、キーヤとヘナの横を通り過ぎていく。

キーヤが見たところ、子供の指の爪が割れていた。