キーヤは、同様に日陰に立つ兵士に訊ねる。 「治療費はどの程度だ?」 「この診療所で診られる範囲のものであれば原則無料です。お気持だけ教会に」 「なるほどそれは流行る」 開け放たれた入り口から見える待合所は、治療を待つ人間でいっぱいだった。 ひとりひとりは軽症だが、数が多い。 兵士と話しているうちにも、またひとり泣き顔の子供が親に連れられてやってきた。 指から血を流している。 親子は、キーヤとヘナの横を通り過ぎていく。 キーヤが見たところ、子供の指の爪が割れていた。