魔王さま100分の2


しばらくすると、聖堂から兵士が戻ってきた。

この兵士もまたヘナの祈りを見て、態度をやわらげる。

「お祈りの最中に失礼します」

ことわりの言葉を先にくっつけて、兵士は話す。

「エミリオ神父は、今は教会ではなく、この近くの診療所におられるようです」

「診療所?」
「あそこです」

飛行杖で広場の一角を指す兵士。

本当に教会のすぐ近く、平屋だがこれもなかなかに立派な診療所が建っていた。

「観光中に怪我をしたり病気にかかった人達が運ばれる診療所です」

「神父様が中でお勤めに?」

訊いたのは、ヘナ。

「はい、軽度のものならばその場で完治されます」

なるほど神の奇跡を具現できるレベルの人間か、とキーヤはひとつ頭にいれた。