魔王さま100分の2


「しかし、でかい建物だな」

キーヤは、聖堂を見上げて言う。

人間の教会というのは、たいていそれぞれの街で最も高い建築物を有している。

イアリミアも例外ではなく、
今見ている聖堂は、大通りに入ってすぐのところから高層部分が見えていた。

大きな建物が集まる大都市の中心部で、さらに群を抜く高さなのだからかなりの物だ。

屋根の一番高いところには大鐘が吊るされており、昇ればイアリミア全体が見渡せるだろう。

そして、この巨大な聖堂は観光スポットのひとつとなるらしく、

たくさんの人間がおとずれキーヤと同じように巨大な聖堂を見上げては、祈りを捧げていた。

気がつくと、ヘナもキーヤの隣で祈りの言葉を紡いでいる。

キーヤには分からない、ヘナの種族だけで通じる言葉。