「しかし、でかい建物だな」
キーヤは、聖堂を見上げて言う。
人間の教会というのは、たいていそれぞれの街で最も高い建築物を有している。
イアリミアも例外ではなく、
今見ている聖堂は、大通りに入ってすぐのところから高層部分が見えていた。
大きな建物が集まる大都市の中心部で、さらに群を抜く高さなのだからかなりの物だ。
屋根の一番高いところには大鐘が吊るされており、昇ればイアリミア全体が見渡せるだろう。
そして、この巨大な聖堂は観光スポットのひとつとなるらしく、
たくさんの人間がおとずれキーヤと同じように巨大な聖堂を見上げては、祈りを捧げていた。
気がつくと、ヘナもキーヤの隣で祈りの言葉を紡いでいる。
キーヤには分からない、ヘナの種族だけで通じる言葉。


