その汗の分、
先導役を得たキーヤ達は、活気に満ちた大通りを真っ直ぐ進むことができ、
よけいなトラブルに見舞われることなく教会につけた。
大都市イアリミアの経済力を象徴する巨大な聖堂が、芝生に覆われた広場の中に建つ。
「おふたりは、ここでお待ちを」
兵士は、聖堂の入り口からやや離れたところにキーヤ達を置いて、聖堂に向かう。
エミリオ神父への取次ぎまでやってくれるらしい。
これは親切ではなく、
まず神父と教会にヘナを受け入れる意思があるか確かめてからということだろうが、
いずれにしても、キーヤは兵士が離れてくれて一息つけた。
ヘナにだけ聞こえるように言う。
「おまえ、見かけよりも大胆だな」
「いけなかったですか?」
「いいや、感心した」
「ふふ、キーヤさんは思っていたよりも慎重でした」
ヘナは、少し笑う。
「大事な荷持を預かっている騎手は、みんな慎重なんだ」
キーヤは、体裁を取り繕って言った。


