キーヤが言う。

「それにしても、人間は鈍すぎないか?いくら魔王さまが、か、か、可愛いといっても」

慣れない単語を使ったので舌がもつれる。

「ついでに言うと、一般の人間は勇者の判別も外見ではできない。覚えておくといいぞ」

そんなキーヤに、シルキスは豆知識をさずけた。

魔王さまは、不敵笑いをする。

「一方、私の目からは魔族、勇者、その他大勢の人間どもの区別は一瞬だ。ふふふ、格の違いというやつだな」

「たいていの勇者や魔族の目からでも同様に区別がつきます。こいつの場合は少々過敏ですが」

シルキスは、キーヤを指差す。

「おまえとは、いつか決着をつける」

キーヤは、エルフ耳を振るわせた。

傍目には、うさぎの耳が動くのに似ているので全く怖くない。