入れ物は、やはり高級そうな紙の封筒。
封の部分は丁寧に蝋で固めてあり、印が押してあった。
印に使われたのは魔王さまの指輪。
シンプルなひとつの円。
「シルキス、その封印を私の許しなく切るのは、どういう意味か分かるだろうな?」
魔王さまは、左手をひらひらさせて言う。
「ううっ、僕の負けです」
シルキスは、うめき膝を折った。
「ああ、昨晩、魔王さまが適当に思いついたシャチの絵の方を採用しておけば……」
勝利した魔王さまは、にっこりとキーヤに命じた。
「というわけだ、キーヤ。おまえは遠慮なくその封書を渡してこい」
「えっと、その……」
キーヤは、地面に崩れているシルキスを見る。
おまえ、どうにかしてくれよという目。


