「鶴翼の陣では天馬は右翼、鞍馬は左翼じゃ。最初に天馬の右足を斬り、鞍馬に駆け寄って右胸を突いた。と言うことは、最初の一雲の一ノ斬りを、天馬の側の左に飛んで避けた」

「左に!」

「左から切り下ろされれば恐ろしさで通常の者なら右に逃れる。この者、ただ者ではない。右に避ければ鞍馬の一ノ斬りが再び襲う。死角を常に突いている」

「関白側でこれだけの腕を持つ者とは・・・?」

「関白は始終監視されていた。近従の四人が誰と接触したか、調べるのじゃ!このままでは済ませぬ!我等、佐久間一族の沽券に関わる!」

「はっ」
 配下の修験者達は暗闇の中を迅風の様に消えていった。