ようやく静音は上がった。

 久しぶりに身体を洗った。
 着替え部屋に入ると着ていたものが無くなり、麻の帷子が置いてある。兵児帯しか無いので大小を前に抱えて捨吉の前に立った。

 捨吉は静音の容姿を改めて見て、目を丸くした。自分の感が当たっていた。

 湯上がりの若衆は、男でもむしゃぶりつきたくなるほどの色香を放っていた。
 何気なくであろうが、火照った肉体から上がる湯気と熱さをいなすために、うなじを大きくはだけて帷子を着ている。
 足の運びは無骨ではなく何となく恥じらいのある動きだ。

(こ・・・これは万作様に引けを取らないかも知れぬ!修理様はなんと若衆に好かれるお人じゃ!羨ましい!)