「アーシャン様、侵入者です」

大きな金色の扉の前で立ち止まった男が言った。

「連れて来なさい」

門兵のような男が2人、扉を開けた。

「入れ」

後ろにいた男が4人を押した。

部屋の正面に金と赤の椅子がありそこにアズミの母親が座っていた。


「…出て行った人間が戻って来たか」


アーシャン…アズミの母親が低い声で言った。

「お母さん!!私たちを助けてよ!!」

アズミが俺の右横で叫ぶ。

「お母さん…?ふっ。わたしはあなたの母親じゃないわ」

「え…?なに言って…」

「見事に騙されたものよ。なにもかも計画通り」

計画通り…?

私たちはまんまと罠にはまったってわけ?

でも、計算ミスね。

ユカはふっと笑った。

男たちは私の短剣を1本、取るのを忘れている。
…背中にあるままだ。

「お母さん!なに言ってるのよ!?」

「母親じゃないって言ってるでしょう」