しかし、夢と現実は程遠かった。


現実の世界では、毎日…毎日…

誰かが連れ去られ、魔物の仲間とされてしまうのだ。

今日、生きられたことが奇跡。

明日、生きられるかが…

不安と恐怖との隣合わせなのだ。


遣いの者が来た。

「王…今日は街の中心部に住んでいる、サジャーさんが連れ去られました…」

なに?

サジャーだと?

「サジャーとは、アレンの親友ではないのか?」

「はい。アレン様の親友の方でございます」

「アレンは知っているのか?」

「いえ…」

「知らせておいてくれ」

「分かりました」


サジャーはまだ16歳…

どうして、子供が連れ去られるのだ?

16歳は子供ではないが…

大人でもない。

最近、若い人々が連れ去られている。


「どうしたものか…」