「ユカっ!!」

アレンも慌てて追いかける。

「出て来い!!」

ユカが叫ぶ。


有香は矢を放った人が許せなかった。
闇に紛れるなんて、卑怯だ。

私は短剣を右手に持ち、あたりを見回した。

「ユカ…なにか感じる?」

「気配は感じるんだけど…」

有香はハッと身を固くした。

「アレン!伏せて!!!」

有香はアレンの腕を引っ張り、地面に伏せた。

伏せた瞬間、何十本もの矢が飛んで行った。

「危ねぇ…。ありがとな、ユカ!」

有香は立ち上がり、短剣をギラつかせていた。
目が怒りの炎に燃えている。

「殺したる」

有香は低い声で呟き、矢が飛んできた方向に向かって走って行った。

アレンも追いかけた。

いつの間にか、ユカのペースにはまっている。

アレンはユカを見失ってしまった。

どこに行ったんだ?
遠くではないはずだが…
ユカの足は速い…。

「ギャッ」
「ガハッ」
「うぅっ」

男のうめき声が聞こえた。

ユカが短剣を握りしめて、倒れた男の中心に立っていた。

短剣から血は流れていない。

素手でやったのだろうか…?

「ユカ…大丈夫か?」

「もちろんッ☆私、空手やってんだ!!」

有香とアレンは並んで歩きだした。