それでもわたしは生きている


彼女もまた、ナオキの女癖の悪さに心を痛めていたんだ。

別の女と一緒に暮らしているナオキを、ずっと想い続け、3年間何度も泣いたであろう彼女。

何故別れないのか、私は不思議に思った。

「別れよう…って、思ったことないんですか?」

その問い掛けに、彼女は静かに笑った。

初めて見た笑顔。

「私とナオキ君、本当に付き合ってるのか分からなくなる時があって。いつも自然消滅みたいになるの。電話番号も、あなたと暮らしてたからなんやね、電話無いって言われてて…だからいつも私は待ってるだけ。忘れた頃に連絡がきて、あ、まだ付き合ってたんやって」



なんて残酷な…



「いつも、これが最後かな…って思ってた。でも、結局それが3年も続いて、私の両親も最初は反対してたんやけど、最近は母の方は認めてくれ始めてて」

彼女は何故私にそんな話を?

今まで下を向いていた彼女が顔を上げて私を見て笑った。

「結婚…するんでしょ?」

「え?あ…うん」

「良かったね!ナオキ君、あなたのこと1番好きやと思うよ」

「でも、サイトウさんのことも…」

「私の事、もう好きじゃないと思う。今回で本当に最後やと思うよ」