それでもわたしは生きている


「どうも…」

「どうも…」

「あそこのファミレス行きます?」

私とサイトウユミは、待ち合わせ場所から2、3分先のファミレスへと向かった。


いつも間にナオキを挟んで顔を合わせていた2人は、笑みひとつこぼさず、初めての言葉を交わした。



席に着いて私が発した第一声は

「私とナオキ、結婚するんです。だから別れて下さい」

「嫌です。彼からは何も聞いてませんから!」

意外だった。

真面目で大人しい子と聞いていたから、黙って泣き出すのではないかと思っていたのに。

彼女も相当な覚悟を決めてここへ来たのだろう。

きっと、彼女の方が辛いに違いない。

だって、ナオキは彼女の側にいないのだから。



「ナオキから、私のことなんて聞いてます?」

何度も私と一緒の所を目撃している彼女に、ナオキがなんと説明しているのか気になった。

「従兄弟…時々遊びに来て買い物に付き合わされるって」

「従兄弟か…サイトウさん、それ信じてました?」

「まさか!ナオキ君、よく浮気するから、また浮気してるんやって思ってた。うち門限とか厳しくて夜遊ばれへんから仕方ないって…我慢するしかないって」