それでもわたしは生きている


女好きのナオキが、結婚という言葉や形に縛られたくないのは分かっていた。

約束したものの、本当に籍を入れるはずがない。

だから私は、これでナオキと終われる。

結婚しないなら、もう別れる。

こんな事の繰り返しはこれで終わりにしよう、そういう意味だった。


ナオキは間髪入れずに答えた。

「しよ!すぐ結婚しよ!明日役所行こ!すぐ行こ!」

「ナオキ…」

一瞬でも、ナオキに迷いがあれば、例え結婚しようと言われても私は別れるつもりだった。

なのに…


ナオキ…私のこと…他の誰よりも好きなん?
私と、家族になってもえぇのん?
ホンマにえぇのん?


私の中の別れの決意は消えていた。

大好きなナオキにこんな風に言われたら、やっぱりその手を掴んでしまう。


「あの子とは、ちゃんと別れるから」

「ナオキ、私にあの女の電話番号教えて」

「え…」

「私が言う!」

「オレを信じられへんってことやんな」

「そう!」

「分かった…お前の好きにせぇ」


ナオキは、3年間付き合ってきた彼女との結末を、私に委ねた。