それでもわたしは生きている


「ユウカ、屋上行こか」

「屋上?」


屋上は、夜景が見えて、タバコも吸えて、ベンチもあり、入院患者達がホッと一息つきに来る場所。

遅い時間ならほとんど誰もいない。


いつものベンチに、普段ならナオキにまとわりついて座る私が、この時は少し距離をおいて座った。


「今日さ、アイツが来た。ミチヨちゃんの事…聞いてんて?」

「あぁ…うん…」

「それでお前の様子おかしかったんかぁ、変やなと思っとってん!お前、よぉ黙っておれたな」


そしてナオキは、言い訳と言い訳と言い訳…

私は黙ったまま、特に何の反応も示さなかった。


ミチヨなんかどうでもいい…

そんな浮気…

どうでも…

私が今傷付いているのは、ナオキの本気が他にあったこと…


浮気がバレた時のナオキは、ひと通り謝った後は開き直り始める。

いつもそう。

だから今日も、無反応の私に居心地が悪くなり、開き直り始めた。


「1回だけやん!1回しかしてへんし、ただの遊びやん!」


回数の問題なのか?

ナオキを追い詰めるのは退院してからと思っていた私のかすかな思いやりも

消えた